「愛国心」通信表問題福岡の取り組み

 昨年、福岡県福岡市の小学校6年生の通信表に、「日本人としての自覚をもとうとする」や「国を愛する心情をもつ」等の項目がありABC評価されていることが分かりました。そのことに対して、在日韓国・朝鮮人が福岡県に多く住む歴史的経緯を認識し、共に人権を尊重できるような社会をめざす活動を続けている『ウリ・サフェ』(コリア語で「私たちの社会」の意)が、福岡市教育委員会へ問題点を指摘し、その評価の削除を求めて取り組みを進めてきました。

 今回その取り組みを進めてきたウリ・サフェ代表の鄭満さん、幹事の李漢彦さんを招いて学習会を開きました。

 ことの発端は、ウリ・サフェの会員が6年生になる甥っ子の通信表を見て、社会科の中に「我が国の歴史や伝統を大切にし国を愛する心情をもつとともに、平和を願う世界の中の日本人として自覚をもとうとする。」という評価項目があることを発見したことに始まります。

 ウリ・サフェとしては、「国を愛する」という個々人の心情を点数化し「愛国心」を強制化することや、在日外国人の生徒や民族名で在学する子どもたちに、国籍や名前を理由に「日本人としての自覚」が足りないという差別や偏見にさらされる恐れがある事などを理由に、評価項目の削除を求めて学校へ要望します。すぐにでも削除してもらえるものと思っていたものの受け入れてもらえず、やむなく福岡県弁護士会、福岡市へ要望書を提出。福岡市への要望後に行った記者会見が、マスコミを通じて全国的に取り上げられたことによって、開設していたホームページの掲示板に、「日本から出て行け」「死ね」等、凄まじい数の嫌がらせの書き込みが殺到し、一時閉鎖に追い込まれるという事態が起こったそうです。

 今回ウリ・サフェが調べたところ、福岡市内144校の小学校のうち69校が、「愛国心」を評価する通信表を使用していたために、その学校すべてに削除を求めて要望書を送付します。一方で、発端となった小学校への話し合いをねばり強く続けます。そして、1年間にわたる長い取り組みの結果、今年度については福岡市内の全小学校で「『愛国心』通信表」の不採用が確認されます。しかし、すべてがウリ・サフェの思いを充分認識した上での削除というわけではなく、「いつまた同じようなことが繰り返されるかもしれないので、今後も注目していきたい。」と李漢彦さんは話されていました。

 マスコミの調査では、全国172校で、同様の通信表を採用しているそうです。決して福岡市だけの問題ではないということを感じました。 

 この問題を詳しく知りたい方は

 ウリ・サフェホームページ http://www.ne.jp/asahi/fukuoka/urisafe/